飲食店のリピート率を上げるには、満足ではなく期待の超え方を変える
飲食店のリピート率を上げるには、クーポンやポイントカードを足す前に、来店前の期待をどう作るかを決める必要があります。満足しているのに二回目が来ない構造と、帰る瞬間に次回が決まる現場の設計を、調査データと直営店の経験から整理します。
新規の客は来ている。会計のときの反応も悪くない。口コミに低い評価が並んでいるわけでもない。それなのに、二回目の来店が積み上がらない。
ポイントカードもLINEも入れた。それでも翌月の売上は、また新規客で埋めている。個人店から数店舗規模のオーナー・店長に向けて、リピート率が何で決まっているのかを整理します。
満足している客が、二回目に来ない理由
リクルートの調査機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が2024年に首都圏・関西圏・東海圏の20〜69歳を対象に行った調査では、初めて利用した飲食店について、利用後の満足度が「事前の期待相当」以上だった人は87.0%でした(リクルート 2024年5月28日発表)。ほとんどの店が、来た客をきちんと満足させているということです。リクルートはこれを「当たり前基準」と表現しています。
ところが、「事前の期待を超えて満足」まで届いた人は32.4%にとどまります。そして初来店でリピート意向が強くなった人は、全体で27.0%です。
満足度の段階ごとに、その後のリピート意向を見ると差がはっきりします。
| 初めて来た客の満足度 | リピート意向が強い人の割合 |
|---|---|
| 事前の期待を超えて満足した | 37.5% |
| 事前の期待ほどではなかった | 12.9% |
| 事前の期待より大きく劣った | 10.6% |
満足させることと、もう一度来てもらうことは別の仕事です。 期待どおりだった客は、悪い印象を持っていません。ただ、来週その店をもう一度選ぶ理由も持っていません。
リピート率が上がらない店の多くは、サービスが悪いのではなく、期待を超える余地を自分で狭めている状態です。
自店のリピート率は、平均と比べても意味がない
リピート率を上げると決めたら、先に数え方を決めます。ある期間に来店した実人数のうち、2回以上来た人が占める割合で出します。顧客が紐づいていないなら、常連の顔を数えるでも構いません。正確さより、同じ数え方を続けるほうが大事です。
ただし、出した数字を平均と比べるのはやめたほうがいいです。先の外食総研の別の調査では、外食の利用全体のうち再利用(リピート)が77.3%を占め、業態別では「牛丼、カレーなど、一品もの専売業態」が95.1%と最も高くなっています(飲食店リピート実態&リピート要因調査)。
日常的に使われる業態は、構造的にリピート率が高く出ます。週に何度も使われる店と、記念日に使われる店を同じ数字で評価しても、打ち手は出てきません。比べる相手は、他業態の平均ではなく先月の自店です。
同じ調査では、リピートする店を決める理由は「料理がおいしい」が69.6%、「コストパフォーマンス」が48.6%と続きます。味と価格は外せない前提であって、そこで差がつかないからリピート率に悩むことになります。
クーポンとポイントカードで、リピート率が上がらないのはなぜか
再来店の施策として最初に手が伸びるのは、次回使えるクーポンやスタンプカードです。効かないわけではありませんが、効き方に限界があります。
値引きで用意しているのは、「来たら得をする」という理由です。これは店の外側に置かれた理由なので、割引が切れれば消えます。そして割引で来てくれた客は、次も割引を待ちます。
ポイントカードも同じです。カードが貯まるから行く客は、その店が好きだから行く客とは別の層です。近くに同じ仕組みの店ができれば移ります。
値引きの打ち手は、単価そのものにも跳ね返ります。この点は飲食店の客単価を上げる方法で詳しく整理しました。
必要なのは、割引を外しても残る理由です。 それは「また、あの時間を過ごしたい」という形でしか残りません。
期待を超える店は、来店前に何を期待させるかを決めている
ここが本題です。期待を超えるには、期待が何だったかを店の側が知っている必要があります。
先のリクルートの調査には、期待の内容別に「期待を超えて満足」の割合を見た数字があります。最も高いのは「お店のテーマが魅力的」と期待して来店した場合で46.3%、次に「特定の調理方法にひかれた」「お店の人の対応やホスピタリティが良さそう」と期待した場合が同率の45.3%でした(リクルート 2024年5月28日発表)。
一方、来店前の期待で最も多いのは「味が良さそう」で69.4%です。つまり、最も多くの客が抱いている期待は、最も超えにくい期待です。 味で来た客の舌の基準は、来る前からその客の中にあります。
逆に、何の店かが伝わっている状態で来た客は、超えやすい。 テーマに期待して来た客は、その世界観が成立していれば「思っていたよりよかった」に届きます。
ここで店側がやることは、投稿を増やすことではありません。何の店として認識されたいかを決め、来店前に伝わる形にしておくことです。 発信、店構え、メニューの見せ方、席の構成がばらばらだと、客は期待を作れません。期待のない客は、超えようがない。
決め方の手順は飲食店のブランディングとは何かで、店の中と外を一本のコンセプトで繋ぐ話として書いています。
帰る瞬間に次回が決まる。飲食店のリピート率を上げる現場の設計
来店前を整えたうえで、現場でやることは一つに絞れます。感情が一番高いところで、次回の話をすることです。
多くの店は、次回の案内を会計のときにします。財布を出している瞬間は、満足の感情が「支払い」に切り替わっているタイミングです。そこで渡されたクーポンは、情報として処理されて終わります。
GIFTが直営している西麻布の焼肉店では、料理と場の体験が最も良くなった瞬間に、次回の予約へ繋げる接客を設計しています。 何を言うかではなく、どの瞬間に言うかを決めている、という話です。リピート率は90%を超えています。
同じく直営のカフェバー業態の店では、広告に頼らず、SNSと口コミだけで席が埋まる状態をつくりました。ここでも足した施策はありません。その店が何を提供する場所なのかを決めて、発信と店内の体験を揃えただけです。
現場に落とすときの順番は、だいたいこうなります。
- 何の店かを一文で決める(スタッフが同じ言葉で言えるところまで)
- その店で、体験が最も良くなる瞬間を特定する(料理か、会話か、退店前か)
- その瞬間にスタッフが何をするかを決める(声かけ、次回の提案、記録の取り方)
- 来店前の発信を、その体験と同じ方向に揃える
順番を逆にすると機能しません。何の店かが決まっていない状態で接客の手順書を作っても、スタッフは場面ごとに違う判断をします。
依頼先の型で、リピート率の打ち手はどう変わるか
外部に相談する場合、相手の型によって返ってくる答えが変わります。どれが優れているという話ではなく、担当範囲が違うということです。
| 依頼先の型 | リピートに対してやること | 届かないところ |
|---|---|---|
| 顧客管理・予約のツール会社 | 来店履歴を可視化し、販促を自動で送る | 送る中身と、店の体験そのもの |
| SNS運用の代行会社 | 投稿と広告で接触回数を増やす | 来店後の現場と、期待の中身の設計 |
| 販促・代理店 | クーポンや企画で来店のきっかけを作る | 割引を外しても残る理由づくり |
| ブランドから入る会社 | 何の店かを決め、発信と現場を同じ方向に揃える | 短期で客数を埋める施策 |
ツールを入れても配信する中身が決まらない、SNSを回しても二回目が増えない、という詰まり方をしている場合、不足しているのは施策ではなく、全体を束ねる一本の軸です。
そして軸を決める仕事は、分けて発注すると機能しにくい。 内装は内装屋、SNSは代理店、接客は店長に分かれていると、それぞれが正しく仕事をしても、客の体験としてはつながりません。判断は結局オーナーに戻ってきます。
GIFTが、リピートのご相談で最初に見ること
私たちは、焼肉屋からカフェバー業態まで、飲食店などを自分たちでも直営しています。自分の店の売上で検証した方法だけをお渡しするという立ち位置です。だから「配信頻度を上げましょう」で終わる提案は出てきません。現場が回らないことを知っています。
リピートのご相談では、販促の設計より先に次を見ます。
- 来店前に、客がどんな期待を持って来ているか(店の想定と、実際の口コミがずれていることがよくあります)
- その期待は、超えられる種類の期待か
- 体験が最も良くなる瞬間が、スタッフ全員で共有されているか
そのうえで、コンセプトから空間・接客・メニュー・発信までを同じ方向に揃えます。立ち上げからその後の運用まで、ブランドパートナーとして一貫してお受けする形にしているのは、この軸を分断させないためです。
施策は足したのに二回目が増えない、という状態でしたら、打ち手ではなく期待のつくり方を見直す段階かもしれません。 発注が前提でなくて構いません。ご相談は無料です。
まずは、いまの状況を
聞かせてください。
課題が固まっていない段階でも構いません。
これから開業される場合も、すでにお店がある場合も。
ご相談は無料です。