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飲食店の多店舗展開が失敗するのは、1号店をコピーするから

飲食店の多店舗展開が失敗する原因は、資金繰りや人材採用より前にあります。1号店の成功をそのまま写した2号店が伸びない構造と、店舗ごとに何を変えて何を揃えるかの決め方を、直営3店舗の経験から整理します。

1号店は回っている。予約も埋まっている。だから2号店を出した。同じ内装、同じメニュー、同じ価格。それなのに、2号店だけが埋まらない。

原因を探すと、だいたい資金繰りか人の話になります。この記事では、その手前で起きていることを整理します。読み手として想定しているのは、1〜3店舗を持ち、次の出店を決めかねているオーナーです。

2号店でつまずく原因は、資金や人材より前にある

多店舗展開の失敗について調べると、出てくる論点はほぼ共通しています。資金計画が甘かった、人材の採用と育成が追いつかなかった、オーナーのキャパシティを超えた、管理が複雑になった。どれも実際に起きることです。

ただ、これらは失敗が始まったあとに表面化する症状です。資金が足りなくなるのは売上が計画に届かないからで、人が足りなくなるのは、オーナーが現場に入って穴を埋め続けるからです。

先に問うべきは、2号店が客にとって必要な店になっているかどうかです。 そこが抜けていると、資金と人の問題は必ず起きます。

飲食店の倒産は過去最多。しかも大型ではなく小規模が占めている

帝国データバンクの調査では、2025年の飲食店経営事業者の倒産は900件で、前年(894件)から0.7%・6件増え、過去最多を更新しました。3年連続の増加です(帝国データバンク「飲食店」の倒産動向(2025年))。

注目したいのは内訳です。負債5000万円未満の小規模な倒産が696件(77.3%)を占めています。大きく張った会社が倒れているのではなく、小さく回していた会社が力尽きているという構図です。

業態別では、居酒屋を主体とする「酒場・ビヤホール」が204件で最も多く、町中華やラーメン店などを含む「中華・東洋料理店」が179件(前年から13.3%・21件増)で過去最多となっています。

同調査は、倒産が増えている背景として食材費や光熱費の高騰、賃上げに加えて、同業との競合が激化していることを挙げています。

ここに、1号店のコピーで出店することの危うさがあります。同質化が進んでいる市場で、自分の店と同じ店をもう一軒増やすのは、自分で競合を増やす行為です。

1号店のコピーが伸びないのは、客に「2軒目を選ぶ理由」がないから

1号店が成功した理由を、オーナーは「料理」や「内装」だと考えがちです。ところが実際に効いていたのは、その立地で、その客層にとって、その店が足りていなかったという組み合わせであることが多い。

組み合わせのうち立地と客層が変われば、同じ商品でも結果は変わります。駅前で回転していた業態を住宅地に持っていけば、滞在時間が伸びて回転が落ちます。オフィス街のランチで強かった店を繁華街に出せば、昼の母数がありません。

さらに厄介なのが、2店舗が近い場合です。 同じコンセプトの店が近接すると、新規の客が増えるのではなく、1号店の客が分散します。売上は2店舗で割られ、家賃と人件費だけが二重になります。

「同じものをもう一つ」は、拡大ではなく希釈です。

飲食店の多店舗展開で失敗を避ける店は、何を変えて何を揃えているか

伸びている多店舗の会社を見ると、変えている層と揃えている層がはっきり分かれています。

  • 店舗ごとに変える……コンセプト、客層、価格帯、空間の設計、使われる場面
  • 全店で揃える……何を大事にする会社なのかという判断の基準、接客の考え方、品質の下限

逆にすると壊れます。コンセプトを揃えて判断基準を各店に任せると、どの店も同じ顔なのにサービスがばらつく店になります。

GIFTが直営しているバーは、渋谷・西麻布・広尾の3店舗です。機能で同質化しやすい市場だったので、店舗ごとに独立したコンセプトを置きました。 同じブランドの支店を増やしたのではなく、それぞれ別の役割を持つ店として設計しています。フロアと個室を分け、店ごとに客層も変えました。結果として、3店舗で年商約2億円に達しています。

自分たちの売上で、この「変える/揃える」の切り分けを検証してきたということです。

現場が持たなくなるのは、人が足りないからではなく判断の基準がないから

2〜3店舗目で必ず起きるのが、オーナーが全店に目を届かせられなくなる局面です。ここで多くの会社が「優秀な店長を採る」方向に進みます。

採用は必要です。ただ、採った人が判断できる材料を渡していないと、同じ問題が繰り返されます。 現場の判断は毎日無数に発生します。クレームにどこまで応じるか、常連にどこまで融通するか、忙しいときに何を捨てるか。これらをすべてオーナーに上げていては店が止まります。

判断を任せるために必要なのは、権限の委譲より先に**「何の店か」の共有**です。何を大事にする店かが共有されていれば、未知の場面でも方向の揃った判断が出ます。手順書は、その基準を場面に翻訳したものに過ぎません。

店の中の基準と、外に向けた発信を一本につなぐ考え方は飲食店のブランディングとは何かで整理しています。採用そのものが難しくなっている点については飲食店の採用で応募が来ない理由で扱いました。

規模が大きくなると、顧客との接点を仕組みで持つ段階に入ります。GIFTが支援している全国に100店舗以上を展開する多店舗ブランドでは、公式アプリの企画・開発から会員基盤を使った設計までを一貫してお受けしており、アプリは40万DLを超えています。店舗数が増えるほど、客との関係を個人の記憶に預けておけなくなるということです。

依頼先の型で、多店舗展開の相談はどう変わるか

出店の相談先は複数ありますが、型によって返ってくる答えが違います。優劣ではなく、担当範囲の違いです。

依頼先の型2店舗目に対してやること届かないところ
物件・内装の会社条件に合う物件を探し、空間を作るその立地で何の店をやるべきかの判断
経営・FCのコンサル数値計画と仕組み化、標準化を進める店ごとに客層を変える設計
求人・人材の会社店長・スタッフの採用を支援する採った人が判断に使う基準づくり
ブランドから入る会社店舗ごとの役割を決め、発信と現場を揃える短期で物件を押さえる動き

標準化はある規模から確実に必要になります。ただ、標準化すべきは判断の基準であって、店の顔ではありません。 ここを取り違えると、どの店も同じで、どの街にも刺さらない状態になります。

そして切り分けの作業は、分けて発注すると決まりません。 物件は不動産、設計は内装、採用は人材、発信は代理店と分かれていると、全体を見て「この2号店は何の店か」を決める人がいなくなります。判断は結局オーナーに戻ってきます。

GIFTが、2店舗目のご相談で最初に聞くこと

私たちは、焼肉屋からカフェバー業態まで、飲食店などを自分たちでも直営しています。自分たちで出店して、自分たちで回してきたので、図面の上では成立するが現場が持たない計画は出てきません。

2店舗目のご相談では、物件の話より先に次を聞きます。

  • 1号店が選ばれている理由を、立地・客層・使われる場面に分けて言えるか
  • 2号店は、1号店と同じ客を取りに行くのか、違う客を取りに行くのか
  • 全店で揃えるものと、店ごとに変えるものを分けられているか

そのうえで、コンセプトから空間・接客・メニュー・発信までを設計します。立ち上げだけで終わらず運用まで続けるのは、ブランドパートナーとして一貫してお受けする形にしているからです。

2号店を出すべきか迷っている、あるいは出した2号店が伸びていない、という段階でしたら、物件より先に整理できることがあります。 発注が前提でなくて構いません。ご相談は無料です。

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