ホテルのレストランの集客は、宿泊者以外が入りにくい理由を削る順番で決まる
ホテルのレストランの集客が宿泊稼働に連動してしまうのは、施策が足りないからではありません。館内にあることが外の人には入りにくさになる構造と、街の一軒として選ばれる状態に持っていく順番を整理します。
レストランの売上が、宿泊の稼働とほぼ同じ形で動いている。外からの客を増やしたいが、何から手をつけるべきか決まらない。この記事は、ホテル・宿泊施設でその判断を預かっている方に向けて書いています。
結論を先に書きます。宿泊者以外に使われないのは、集客施策が足りないからではありません。「誰のための店か」が決まっていないまま、館内にあることの入りにくさが残っているからです。 施策を足す前に、この2つを先に片づける必要があります。
ホテルのレストランの集客が、宿泊者以外に届かない理由
シティホテルの売上は、宿泊・料飲・宴会・その他で概ね3:3:3:1とされ、料飲は宿泊と並ぶ柱です。それなのに、料飲だけが宿泊の稼働に引きずられてしまう。原因は施策の量ではなく、構造にあります。
館内にあること自体が、外の人には入りにくさになります。
- 建物の入口が「ホテルの入口」であって、店の入口に見えない
- ロビーを通る必要があり、宿泊客でない自分が入っていい場所か分からない
- 予約が宿泊の予約システムの中にあり、食事だけの予約の取り方が分からない
- メニューと価格が外から見えない。ホテルだから高いのだろうと見積もられる
どれも「知らなかった」ではなく「入りにくかった」という理由です。認知を増やす施策では解けません。
よくある失敗は、入口を増やす前に発信を増やすこと
外販を決めたとき、多くの施設が同じ順番で動きます。
- ランチ営業を始める
- Googleマップにレストランとして登録する
- SNSのアカウントを作って発信する
- 期間限定のフェアやイベントを打つ
どれも間違っていません。順番が逆なだけです。 上の4つはすべて「見つけてもらう」ための集客施策で、入りにくさには触れていません。見つけた人が入口で止まるので、反応は出るのに来店が積み上がりません。
企画を打っている間は数字が動き、止めると戻る。これを何度か繰り返すと、現場が「外販は効かない」と結論づけてしまいます。効かなかったのは外販ではなく、順番です。
解決の考え方は、「ホテルのレストラン」をやめること
館内の一施設ではなく、街の一軒として成立させる。 これが外販の前提です。 具体的には、次の4つを宿泊から切り離します。
| 切り離すもの | ホテルの一施設のまま | 街の一軒として |
|---|---|---|
| 名前 | ホテル名の中にある | 店の名前で呼ばれる |
| 入口 | ロビー経由 | 外から直接入れる |
| 予約 | 宿泊と同じ経路 | 食事だけで取れる |
| 価格の見え方 | 館内価格 | 外の相場と並ぶ |
全部を物理的に変えられるわけではありません。入口を工事できなくても、「外から入れる」と伝わる状態は作れます。 看板、館内の案内、地図アプリ上の写真、予約ページの一行。できるところから、入りにくさを削っていきます。
具体的には、どの接点を直すか
抽象的な「ブランドの統一」では現場が動きません。触る場所を接点で指定します。
見つかる段階
- Googleビジネスプロフィールを、ホテルとは別にレストランとして持つ。カテゴリ・営業時間・予約リンクを食事客向けに揃える
- 写真の1枚目を、料理か客席にする。建物の外観だとホテルの情報に見える
- 口コミへの返信を、宿泊の文体ではなく店の文体で書く
入る段階
- 外部の通りから見える位置に、店名とメニューと価格帯を出す
- 館内の案内に「宿泊者以外のご利用も承ります」と明記する
- 予約を食事単独で完結させる。電話の場合、フロントで止めずに店へ繋ぐ
体験の段階
- 宿泊者の朝食と地域客の会食を、時間帯か席で分ける
- スタッフの最初の一言を変える。「ご宿泊のお客様ですか」から始めると、違う人は居場所がないと感じる
- 再来の理由を、割引ではなく次の体験で作る
ここまで降りてはじめて、SNSやイベントが効きます。 順番を守ってください。
GIFTが、この順番を勧める理由
発注先には型があり、主になりやすいことが違います。飲食コンサルは原価とオペレーションの改善、マーケティング会社はSNSや広告など外向きの施策、制作会社はロゴやWebといった制作物。どれも必要な仕事です。
ただ、外だけを整えても、中の体験が追いつかなければ客は戻ってきません。 逆に中だけを磨いても、入りにくさが残っていれば最初の一人が来ません。外販がうまくいかない施設は、たいていこの間で止まっています。
GIFTは自社で飲食店を直営しています。 都内で3店舗を展開するBarブランドを含む直営6店舗をプロデュースしています。どう知ってもらい、どう最初の一歩を踏ませ、どう二度目を作るか。これを自分たちの店で毎日やっているので、机上の提案になりません。
新潟県のオーベルジュでは、施設の価値を伝えきる発信と運用の設計から入り、国内外から評価される状態まで伴走しました。宿泊と食の両方を扱う施設で、中と外を一続きに設計した例です。考え方はホテルのブランディングの進め方とオーベルジュのブランディングにも書いています。
どのような施設に向いているか
向いているのは、次のような施設です。
- 料飲を宿泊の付帯ではなく、収益の柱にしたい
- 地域に対して、まだ店として認識されていない
- 集客の施策は打ってきたが、止めると戻る状態を繰り返している
- 現場に当事者がいるが、横断して進める人がいない
向いていない場合もあります。 宿泊の稼働自体が課題で、料飲に人を割けない状態であれば、先に宿泊側を立て直すべきです。また、館内の運営を外部のテナントに委託していて仕様を変えられない場合は、契約の見直しが先になります。
相談する場合、どう進むか
最初にやるのは、いまどこで止まっているかの切り分けです。見つかっていないのか、見つかっても入れないのか、入っても戻ってこないのか。段階が違えば打ち手は変わります。
そのうえで、既存店の集客を継続的に動かす形ならSTORE PM、検索や地図上での見え方から整える形ならレビュー最適化が入口になります。どちらも、はじめは現状をうかがうところからです。
よくある質問
- ホテルのレストランの集客は、何から始めればいいですか?
- 施策を足す前に、その店が誰のための店かを決めてください。宿泊者の朝食と地域の夜の食事では、必要なメニューも価格も人の配置も変わります。両方を同じ設計で兼ねようとすると、どちらにも物足りない店になります。決まっていれば、打ち手は自然に絞られます。
- Googleマップへの登録やSNSだけでは足りませんか?
- 入口としては必要ですが、それだけでは足りません。検索で見つけてもらっても、入りにくさが残っていれば来店にはなりません。館内のどこから入るのか、予約は宿泊と別の経路で取れるのか、外からメニューと価格が見えるのか。この3つが揃っていないと、発信の費用が通過客で終わります。
- ランチ営業やイベントは効果がありますか?
- 効果は出ます。ただし単発で終わると、やめた時点で元に戻ります。期間を区切った企画は、来てもらう理由を試すための手段として使ってください。反応が出た理由を常設のメニューや時間帯に移していけば、企画を止めても残ります。
- 宿泊とレストランで客層が違っても大丈夫ですか?
- 問題ありません。別の客層を取りに行くのが外販の目的です。注意が必要なのは、客層が混ざる時間帯の体験です。宿泊者の静かな朝食と地域客の賑やかな会食が同じ空間で重なると、どちらの満足も下がります。時間と席の設計で分けてください。
まずは、いまの状況を
聞かせてください。
課題が固まっていない段階でも構いません。
これから開業される場合も、すでにお店がある場合も。
ご相談は無料です。